第三十四回(2021/04) グッドラック関西!!
3年間続けて来たこの見聞録もいよいよ一区切りである。まだまだ書きたいことが山ほどある。たとえば、定番では奈良の大仏、興福寺の阿修羅像、そして三十三間堂。法隆寺や東寺といった世界遺産群もはずせない。さらには関西の出汁(だし)文化のほか、上方と浪速のちがい、万博記念公園内の太陽の塔(写真)などだ。この塔は同じ吹田市内にあるので何度か見に行った。
見聞録を書いていて嬉しかったのは、意外に関西在住の方々から好評だったことだ。大和大学のゼミ生のひとりは「明石のたこ焼きが面白かった」と言ってくれた。同僚のご夫人が熱心に読んで下さっていたとも聞いた。そもそも初めのコンセプトは、関東から来た西も東もわからない新参者が、関西の地で独特のカルチャーに直面して驚嘆するという企図だった。要するに関西以外の地域で読まれることを、なかば暗黙の前提にして書き始めたのである。それだけに当の関西での好評は望外であり、わたしはひとり秘かに感激した。
今後は毎月の定期連載を卒業して、興が乗ったら折に触れて書くスタイルに変えようと思う。この関西での3年間は、東日本に偏っていたわたしの蒙を啓いてくれた。江戸期には「諸国の吹きだまり」だった東京よりも、はるかに居心地の良い大都市がここにある。関東で負ったわたしの傷が癒されるような、何気なく人に優しい街なのだ。そこでは圧倒的な歴史や文化と、人々の日常生活とが絶妙に共生している。過去と未来の併存だろうか。
それではひとまずの中仕切りである。ここでぜひ言っておきたい。
サンキュー関西! グッドラック関西!!
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