第二十七回(2020/09) 大阪名物グルメ — チーズケーキと豚まん(2)
一方、豚まんのテイクアウトで有名な551蓬莱も、大阪市を中心に関西で展開する。母体は1945年に創業した蓬莱食堂だ。1962年に火災に遭って難波の店舗を分離することにした。1964年からは、台湾出身の創設メンバー3名がそれぞれ別会社にのれん分けした。株式会社蓬莱(551蓬莱)、同本館、同別館の3社である。店名の蓬莱とは桃源郷を意味し、成功を夢見て故郷を出た彼らにとって日本はまさに夢の国だった。
後にビル業に転換した別館を除き、ほかの2社が豚まんを製造・販売する。なかでも50余の店舗を直営する551蓬莱が一般的である。「551」の由来は、創業時の電話番号が551番だったからで、「味もサービスもここがいちばん(551)を目指そう」との社是から付けられた。また、当時の社長が吸うタバコの銘柄「ステートエクスプレス555」もヒントになったという。
なお551蓬莱では冷凍を扱わない。新大阪駅や関空などの店舗で、持ち運べるチルド品を販売する。これは手包みによる作りたてだ。圏外にも愛好家は多く、関西を訪れるたびに土産として買い、新幹線などに乗り込む姿が見られる。そして蓬莱ブランドの冷凍豚まんは、蓬莱本館の製品である(写真)。
ちなみに昨年のクリスマスなどに、新大阪駅でリクローと551蓬莱の両店がコラボして、焼き印を交換して押すイベントもあったとか。大阪の食文化は粉モン文化だといわれる。まさにこのチーズケーキと豚まんは、関西粉モンの王道である。(この項終わり)
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