第十七回(2019/11)「関」ってなに?——関西・近畿そして関東——

 関西とはどこをさすのか。近畿とどう違うか。そして関東との境目はどこなのだろう。そもそも「関」とはなにか。今回はこうした基本に返って考えたい。

 語源としての関西は「関所よりも西」という意味である。関所の東側が「関東」になる。「関」とは関所のことだ。境界線となる関所の位置には3説ある。第1に、滋賀にある近江逢坂(おうみ・おおさか)の関。第2に、三重・岐阜・福井にある鈴鹿(すずか)の関・不破(ふわ)の関・愛発(あらち)の関。第3に、神奈川にある箱根の関。一般に逢坂関を境目とする。

 関西は、江戸期から民間が使用した。近畿は、森友事件で有名な「近畿財務局」のように、明治以降おもに行政が使う。諸説あるが、ポイントは三重の扱いだ。関西は三重を含まず、近畿では三重を含む。つまり関西とは、京都・大阪・兵庫・奈良・滋賀・和歌山の2府4県。近畿はその関西に三重を加えた2府5県になる。

 近畿の範囲は法定されていない。古くは「畿内(きない)」と呼ばれた。名称と範囲を初めて公的に示したのは、1903(明治36)年の国定教科書『小學地理』であった。古代律令制における広域行政区画の「畿内」に由来する。「都(=畿)とその近隣」が語義で、歴代の皇居を置いた土地だ。

 近畿は「畿内に近い」という意味である。畿内は次の5地域を指す。京都の山城(やましろ)、大阪東部の河内(かわち)、大阪南部の和泉(いずみ)、大阪北中部と兵庫の一部の摂津(せっつ)、そして奈良の大和(やまと)である。これら5国の近隣地域が近畿なのだ。ただしこれには異説もある。 (次回に続く、画像は「社会人の教科書HP」より引用した。)